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緑化センターについて

緑のリサイクル技術

3)施工事例

根株移植の施工事例には以下のようなものがある。

 

(1)名寄バイパスにおけるリサイクル緑化の実施事例

伐り株移植工の経過

名寄バイパスにおける伐り株移植工は、平成15 年8 月〜9 月にかけて、知恵文IC付近の切土法頭の平坦で長い帯状地(L=355m、2.0m間隔)に施工した。樹種は現地にみられる広葉樹でシラカンバ、ミズナラ、アズキナシなど13 種、561 本とし、直径は活着を考慮し最大30cm までを移植した。

移植1年後の経過を観察すると、移植木の約7割が萌芽し、全体として良好な萌芽幹の成長が確認されている。樹種別にみると、移植本数に差はあるものの、シナノキ、イタヤカエデ、キハダ、ハルニレが80%以上、ミズナラ、エゾヤマザクラが50%〜80%の萌芽率を示した。また、シラカンバ、アズキナシ、ハリギリなどは萌芽率が低く、樹種によって生育状況に差が見られた。また、若木の成功率が高いことも確認された。

現在(施工4 年経過後)の生育状況

萌芽幹が旺盛な伐り株は、主幹を1 本選定し、他の萌芽幹(ヒコバエ)を切り除くことにより、健全な樹木へと誘導する段階に入っている。一方、新たに萌芽幹(ヒコバエ)の有効活用方策(新規緑化対象地の緑化材料)として、「盛土とり木」による苗木づくりに取り組んでいる。

図5盛土とり木の仕組み

図−5 盛土とり木の仕組み

 

[盛土とり木法について]

伐り株移植した根株からは、多くの萌芽幹(ヒコバエ)が成長してくるため、移植後3 年〜4 年目には、主幹を残し、他の萌芽幹は、切り除くこととなる。一方、この萌芽幹の根元を覆土することにより、新たに根系が発生し、緑化材料としはての活用が可能となる。これにより、緑化材料としての伐り株の調達が不足する場合などは、容易に緑化材料が調達可能となるメリットがある。

リサイクル緑化の推進

道央自動車道の士別・剣淵IC付近の道路建設予定地に自生するシラカンバの一斉林を貴重な緑化資源と位置づけ、名寄バイパスの整備中の盛土法面に緑化材料としてリサイクル活用した。

自生するシラカンバの一斉林は、樹高1〜1.5m程度であり、過去に刈払い作業が実施された形跡があり、株立ち苗で、人力での根鉢の確保は時間と労力を必要とすることが判明した。このため、コスト縮減も考慮し、機械力を基本に細かい作業は人力とした掘り取り作業を実施した。

名寄バイパスの盛土区間の緑化では、このシラカンバの一斉林の伐り株移植54 本のほか、旭川道路事務所で保育管理していた、ケヤマハンノキ20 本、カツラ20 本、ハルニレ10 本、オニグルミ10 本の高木合計114 本、加えてのり尻ラインにホザキナナカマド(低木)20 株を移植した。また、移植にあたっては、雪圧防止杭を設置した場合と、しない場合の有効性の効果検証を行うため、一部の植栽区間に雪圧防止杭の設置を行った。

 

図6盛土法面の緑化模式図

図−6 盛土法面の緑化模式図

 

引用文献 北海道開発局ホームページ, 旭川開発建設部士別道路事務所:名寄バイパスにおけるリサイクル緑化の実施事例,2008.2.14更新, 2011.2.28参照
九州大学の生物多様性保全ゾーン、千葉圏央道の建設に伴う自然環境に配慮した施工・管理の試み

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