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NGK主催 平成30年度「ゴルフ場環境経営セミナー」報告

 2019年1月17日東京(TKP八重洲カンファレンスセンター)において、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の主催による平成30年度「ゴルフ場環境経営セミナー」を開催しました。

リンク開催案内とプログラム

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会場のようす
 
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開会のあいさつ
(一社)ゴルフ場経営者協会 大石 専務理事
 

 開会の挨拶では、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会 専務理事 大石 順一 氏が、

「オリンピック憲章はオリンピズムの根本原則として、『スポーツをすることは人権の1つである』ことを掲げています。東京オリンピックのゴルフ競技会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部もこの理念を尊重して、女性会員に門戸を開いています。今、ゴルフ人口の減少は世界的な潮流となり、R&AやUSGAはゴルフ事業の継続性を確保し、多くの人にゴルフを楽しんでいただくことを最優先課題としています。前日の日本ゴルフサミット会議で公表された2019年度活動方針では、ゴルフの活性化を図るため、女性ゴルファーの創造(開拓)を新たな活動テーマに加え、イメージアップ(ゴルフと健康、地域創生の一翼を担うゴルフ産業など)に引き続き取り組むことを確認しました。本日のセミナーは、ゴルフ場に期待される環境への配慮、社会貢献を念頭に置いた活動へ目を向けることが経営改善につながることを意図しています」と述べられました。


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(一社)徳島地域エネルギー 羽里 常務理事
   
 最初の講義は、(一社)徳島地域エネルギー 常務理事の羽里信和氏から、「バイオマスボイラー導入の経済性」について、

 ゴルフ場で年間通じて安定的な利用が見込める給湯需要を前提に、バイオマスボイラー導入に関して検討すべき事項、
①バイオマスボイラーの利点と欠点は、現状利点の方が大きく勝ってきていること
②設備投資(初期費用、運転費用、投資回収期間など)は、10年以内に回収できる事業計画とすること
③利用できる補助金・助成金は、基本的に民間1/3、例外的に2/3補助が得られる場合もあり、補助金がない場合は繰上償還も可能なこと
④燃料供給の安定化(地域供給体制の整備)、これが最も重要で、地域での燃料供給パートナーを獲得することが大切なこと
⑤近年のゴルフ場などの導入事例(山梨県・レイクウッドゴルフコース明野コースほか)
を解説し、
 地域アライアンスの前提条件として、
①バイオマスの持続的調達
②ガス・電気・石油と競争できる価格
③アライアンスを支えるプレーヤーの存在
④地域調達燃料に適した技術、安価なボイラー、地域に移転できる設置・メンテナンス技術
の4点を力説されました。
 
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㈱ゴルフダイジェスト・オンライン
渡邉 タイ事業推進室長
 次に、(株)ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)タイ事業推進室長の渡邉信之氏から、「ゴルフ菜園プロジェクトにみるゴルファーの社会貢献」について、 ゴルフ菜園プロジェクトの現状、本業以外での取組、GDOが見るゴルフ業界の変化などをお話しいただきました。

「GDOは『ゴルフで世界をつなぐ』ことをミッションとし、菜園プロジェクトの理念ともつながっています。
 菜園プロジェクトは、アフリカ・アジアに給食を届けることをめざすNPO法人TABLE FOR TWOとの協働により、「みんなのバーディでアフリカに菜園をつくろう」というものです。
 しくみは、GDOの提供するスコア管理でゴルファーはスコアを登録するだけです。
 1バーディ当たり10円をGDOがNPOに寄付します。1つの菜園造成費用は15万円、2016年4月から現在までのバーディ数は3,323,931、これによって現在221.6か所の菜園が誕生しています。
ゴルファーがバーディを出した最高の喜びの瞬間をカタチにするものが菜園です。
 菜園プロジェクトの認知度はスコア管理を利用するゴルファーはもとより、ゴルフ界にもまだまだ低いといえます。ゴルファー自身が能動的に社会貢献できるしくみの構築が課題です」 と述べられました。

 
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(一財)日本緑化センター 瀧 理事
 
 続いて、当センターの 瀧 邦夫 理事よりゴルフがいかに地域社会に影響力を与えるものであるか、「ゴルフのもたらす地域貢献力」について解説を行いました。

 冒頭、2018年10月、ロンドンで開かれた第7回・国際身体活動公衆衛生会議で公表されたゴルフと健康に関する国際合意声明の話題を紹介した後、世界ゴルフ財団、オーストラリアゴルフ協会の地域貢献への視点を示したうえで、4つの事例を紹介しました。
 事例1では、ゴルフのコミュニティに及ぼす影響力(オーストラリア・ビクトリア州ゴルフ協会)について、
 事例2では、「ムーアパークゴルフコースはシドニー市民にパブリックゴルフ娯楽複合施設を提供」と題して、障がいに優しいゴルフコースのサービスとして、パラゴルファー(paragolfer:全地形対応型の特殊移動装置)の利用動画を紹介し、次いで、英国の2つのゴルフ組織「イングランドゴルフ」「社会にゴルフを(Golf In Society)」の地域貢献への視点を明らかにしました。
 事例3では、イングランド・リンカンシャー州のゴルフセンターが認知症にやさしいサービスのパイオニアとなること、
 事例4として、イングランドゴルフがマクミラン癌サポートの「最長の1日ゴルフチャレンジ」を支援していることを解説しました。

「各国ゴルフ組織は、ゴルフに対する社会の捉え方を真摯に受け止め、『ゴルフは社会に恩恵を与える』『ゴルフは人生のための競技』『イメージを改善しスポーツの恩恵を促進』することを確信しています。それ故、ゴルフの生み出す地域貢献力を発揮することで、ゴルフへの理解が得られ、あらゆる人たちの参加が実現すると考えられます。ゴルフ場、ゴルフ界ができることから地域貢献力を発揮するスタートの年となることを期待したいと思います」 と述べられました。
 最後に、閉会の挨拶では、大石専務より、

「本日は木質バイオマス利用、ゴルファーの社会貢献、ゴルフのもたらす地域社会への影響力の観点から、ゴルフおよびゴルフ場が地域の生活や社会の中で如何に役立つことができるかを考えていただくことにあります。ここで得た知識を現場の皆様と共有し、さまざまな関係者に伝え、できるところから実践することを心掛けていただきたい」と結ばれ、 約30名の参加を得たセミナーを閉会しました。

 なお、当センターは、本セミナーの企画・運営に協力いたしました。

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