HOME > 講座・研究会 > 松枯れ防除実践講座 > 第9回報告1日目 > 2日目

講座・研究会

第9回 松枯れ防除実践講座のご報告 2日目(実習)

マイクロピペットによるマツノザイセンチュウ懸濁液の接種

2日目は、林木育種センター東北育種場において、最初に田之畑場長より育種事業の概要について伺った後、抵抗性マツの接種検定ハウスに移動し、接種検定の要領について説明を受けた。マツノザイセンチュウ懸濁液の接種は、他の地域においては苗木の軸に切り込みを入れそこに接種するのに対し、東北では軸先端部をプライヤーで潰しそこに接種する方法が採られている。寒冷地で苗木の成長に時間を要し、軸がなかなか太らず細いためという。

 

 

 

マイクロピペットによるマツノザイセンチュウ懸濁液の接種


林木育種センター東北育種場 田之畑場長

林木育種センター東北育種場 田之畑場長

抵抗性マツの接種検定ハウス

抵抗性マツの接種検定ハウス


 

次に、実習場所へ移動し、感染木の簡便な判定手法である小田式松脂滲出調査要領およびマツノザイセンチュウの有無を鑑定する材片採取要領の説明を、中村生物被害研究グループ長より受け、参加者はポンチと金槌を使い樹皮を剥離し、ドリルを使い材片をジップロックに採取する実習を行った。例年の実習は、海岸林において実際の被害木や健全木を対象に行うが、育種場の構内は初めてであり、しかも育種場のある滝沢村はこれまで岩手県内の被害未発生地域であるため、実習にはアカマツ健全木を町有林から伐採し搬入するという方法とした。

 

松脂滲出調査の要領

松脂滲出調査の要領

材片採取の要領

材片採取の要領


ドリル刃注意事項の説明

ドリル刃はマツノザイセンチュウの伝染を防ぐ

ため、次のマツの材片採取の前にバーナーで

熱処理する。熱処理の後に水に浸し冷ます。

ポンチ・金槌による松脂滲出調査の実習

ポンチ・金槌による松脂滲出調査の実習


材片採取の実習

材片採取の実習


 

 次いで、参加者は5つのグループに別れ、ゾエティス・ジャパン(株)による松枯れ予防の樹幹注入処理、サンケイ化学(株)によるナラ枯れ予防の樹幹注入処理とマツノマダラカミキリ駆除の伐倒くん蒸処理、井筒屋化学産業(株)によるマツノマダラカミキリ駆除の天敵微生物製剤(ボーベリア菌シート)の実習、石原バイオサイエンス(株)による松枯れ予防の土壌灌注の各実習メニューを約20分順番に受講した。

 

マツ枯れ予防樹幹注入の実習

マツ枯れ予防樹幹注入の実習

ナラ枯れ予防樹幹注入の実習

ナラ枯れ予防樹幹注入の実習


伐倒くん蒸(薬剤)の実習

伐倒くん蒸(薬剤)の実習

伐倒不織布製剤(ボーベリア菌)の実習

伐倒不織布製剤(ボーベリア菌)の実習


土壌灌注の実習

土壌灌注の実習

実習地の模様

実習地の模様


 

実習場所から再び育種場の会議室へ戻り、中村生物被害研究グループ長により採取した材片をベールマン漏斗へ設置し、マツノザイセンチュウを抽出する要領についての説明を聞き、マツノザイセンチュウの顕微鏡確認を行った。

ベールマン法によるマツノザイセンチュウの視認による同定には、電子顕微鏡の装備が必要であるが、近年、マツノザイセンチュウ以外の Bursaphelenchus 属の多くの線虫が発見され、形態分類の知識・経験が必要となる。そこで、大きな設備が不要で簡易に判定できる、診断キットの利用が便利であることから、この技術を普及する目的で、(株)ニッポンジーンによるマツ材線虫病診断キットの使用手順の解説を受けた。

この後、今回実習にご協力いただいた資材メーカー5社から補足説明、資料提供を受けた。

 

ベールマン法によるマツノザイセンチュウ滲出要領の解説

ベールマン法による

マツノザイセンチュウ滲出要領の解説

マツノザイセンチュウ検出キットの実習

マツノザイセンチュウ検出キットの実習


 

最後に、当センター小禄専務理事より閉会の挨拶を行った。岩手県では私有林所有者の松枯れ防除に対する認識がまだまだ低位にあることから、県はもとより、国有林からも積極的な防除意識を高める啓発活動などのアプローチが大切であり、今回の講座を契機に前向きな取り組みが動きだし、当センターとしても協力させていただく考えを述べ、2日間の講座全日程を盛況のうちに終了した。

本講座の運営に際しては、岩手大学、東北森林管理局、林木育種センター東北育種場、岩手県森林整備課に大変ご尽力をいただいたことに対し、改めて謝意を表する次第である。

 

実習終了後の記念撮影

実習終了後の記念撮影


報告1日目にもどる

講座開催案内をみる

これまでの開催履歴、報告をみる

このページのトップへ