・樹脂の出方による診断
・葉の枯れ方による診断
 
  ・物理的・化学的駆除
・生物的駆除
 
 
 
   
 
 
物理的・化学的駆除と生物的駆除

 「駆除」は枯れたマツを翌春までに切り倒し、幹ばかりでなく枝も含めて集め、集めた材を焼いたりチップにしたり、山積みしてビニールでおおい、殺線虫剤でくん蒸したりして幼虫や蛹を殺す作業です(物理的・化学的駆除)
 最近では、天敵を用いた駆除法もいろいろ研究されています。例えば、ボーベリア菌という微生物を利用して幼虫や蛹を殺す方法、オオコクヌスト、サビマダラオオホソカタムシなどの昆虫やアカゲラなどのキツツキ類を増やして、幼虫を退治してもらおうという研究も進められています(生物的駆除)
 
 
 焼却処理
 切り倒した被害マツを焼却処理する方法です。
 材に潜り込んだ幼虫は蛹になる段階で最も深く潜り、その深さは1cm前後です。そのため、材の表面から内側に1cm程度が炭化していれば十分効果が得られます。土壌が加熱されると、つちくらげ病(健康なマツの根系に侵入しマツを枯らすキノコの1種)の地中の休眠胞子が活動を始める引き金となるので、焼却はマツ林の外で行うようにします。    焼却
 
 破砕(チップ化)処理
 切り倒した被害マツをチップ工場などに運び、チップ化する方法です。
 材に潜り込んだ幼虫や蛹の大きさから、チップ材片の厚さは規則で6mm以下と定められ、これによってすべての幼虫や蛹は死滅します。幼虫は2cmほどの細い枝にも潜り込んでいるので、細い枝も残さず破砕します。細い枝には、枝条用の移動式簡易粉砕機の利用が便利です。
 
 土中処理
 切り倒した被害マツを土の中に埋めて処理する方法です。
 地下15cm以上の深さに埋めて土をかければ効果があります。海岸など砂土の多い地域では実用的です。
 
 薬剤散布
   切り倒した被害マツの枝を払い幹を玉切りにして駆除薬剤を散布する方法です。 
   幹はもちろん切り払った枝にもむらがないよう、まんべんなく薬剤を散布します。
 「秋期駆除」は、幼虫が樹皮下にいるか穿入孔道(せんにゅうこうどう 蛹室をつくるために材に開ける孔)を掘っている10月末頃までに行います。10月末以降3月末までの期間に実施する「冬期駆除」、さらに3月末以降マツノマダラカミキリの成虫が羽化脱出するまでの期間に実施する「春期駆除」を行います。
   
 くん蒸剤処理
   切り倒した被害マツを薬剤でくん蒸し、徹底した駆除効果を期する処理方法です。
 林内に縦1m横2.5m程度の範囲の腐植層を取り除き浅く掘り、被害マツの切り払った枝を下に敷きます。その上に玉切りにした幹を高さ90cmほどに積み重ね、全体をビニールシートで覆います。シートの裾は土などで塞ぎ完全に密閉し、薬剤を用いてくん蒸し、そのまま7日間ほど放置して処理します。
 
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