生物系廃棄物の発生とリサイクル

 

我が国の生物系廃棄物の発生量は、発生時点で約2億8千万トン程度であり、これは一般廃棄物や産業廃棄物に農業副産物やし尿汚泥等を含めた廃棄物総量の約6割に当たる。

 主な廃棄物毎に肥料成分含量を推計し、肥料資源として評価した場合、窒素132万トン、りん酸62万トン、加里85万トンに相当し、これは平成8年に使用された化学肥料ベースの成分量に対して窒素260%、りん酸102%、加里193%となっている。

 生物系廃棄物のリサイクル状況まで調査が行われているものは少ないが、稲わら、家畜ふん尿、バーク(樹皮)等の農林業系の廃棄物は概してリサイクル率が高く、都市型の生活系の廃棄物は焼却、埋立といった最終処分の割合が高くなっている。

 生物系廃棄物のリサイクル先の用途は多岐にわたっており、また、拡大のための技術開発も活発に行われている。コンポストは、発酵過程を経て衛生・安全性も改善され、性状も安定化する等のメリットがあり、これからも生物系廃棄物の中心的な処理方法と考えられる。

 事業としてコンポストを生産又は輸入する場合には、肥料取締法に基づき届出が行われているが、業者数及び生産量は年々増加し、コンポストを含む特殊肥料全体の業者数は平成8年で生産業者が5,772業者、輸入業者が457業者となっており、また生産量は約300万トンとなっている。特にバークたい肥、牛ふんたい肥の生産量が大幅に増加している。

 増加している要因としては、コンポストは、従来、自給的に生産・利用されていたが、耕種農業と畜産農業の特化・分離、畜産農業の規模拡大等の進展に伴い、商品としての流通・利用が行われるようになったこと、コンポスト生産施設(農協等によるたい肥生産施設、下水汚泥コンポスト化施設等)の整備が進展したこと等があげられる。

(出所:「資源再生論副教材」松崎敏英)




家畜ふん堆肥の供給

 肥料取締法にもとづき特殊肥料の届出を行なっている26都道府県の堆肥生産者のうち、家畜ふんを主原料とする生産者、およそ1,200件を対象にアンケート調査(平成12年1〜3月)を実施したところ、300件(回答率25.0%)より回答を得た。

 家畜ふんの種類別に生産されている堆肥をみると、回答総数332件のうち、牛ふん(肉用+乳用)が36.8%、豚ふん18.4%、鶏ふん(採卵+ブロイラー)26.8%となり、牛ふんを主原料とする堆肥が最も多い(図1)。

 堆肥生産者が熟成の目安と考えている項目のベスト5は、期間(24.0%)、水分比(18.1%)、におい(17.1%)、手触り(13.6%)、温度(13.2%)の順となっている(図2)。

 水分調整資材の内容をみると、おが屑の利用頻度が最も高く(31.6%)、2番目はもみ殻(18.2%)、その他を別にすると3番目はバーク(8.6%)である。水分調整資材を使用していない製品もおよそ1割(11.1%)みられる(図3)。

 生産されている堆肥の窒素比率は、1〜2%の製品が多く(回答総数252件のうち69件、27.4%)、次いで2〜3%のもの(25.8%)となる(図4)。

リン酸比率は、1%未満の製品が多く(回答総数251件のうち48件、19.1%)、次が1〜2%(15.5%)の製品である(図5)。

カリ比率は、2〜3%の製品が多く(回答総数249件のうち73件、29.3%)、次いで1〜2%(26.5%)の製品である(図6)。



家畜ふん種類別の堆肥件数
窒素比率
熟成目安(複数回答)
リン酸比率

水分調整資材(複数回答)
カリ比率


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